タワーマンションの購入による相続税の節税
タワーマンションを購入して相続税を節税しようとする方が多くいます。タワーマンションの購入は確かに相続税の節税になります。それは、タワーマンションの相続税評価額は概ね時価の3割ぐらいになることが多いためです。
例えば、2億円のタワーマンションを購入するとその相続税評価額は概ね6000万円ぐらいになるので、現金で2億円持っているよりも相続財産の額を1億4000万円減らすことが出来るからです。相続財産が多くて税率が5割になっている方であれば、これで相続税を7000万円減らすことが出来ます。
しかし、タワーマンションの購入による節税には次の3つリスクが伴いますので、十分に注意してください。
(1)税務署に否認される可能性
(2)収益率が悪くなる
(3)価格の下落
まず、税務署に否認されるリスクですが、相続発生前約3年前以内に購入して相続発生後すぐに売却しているケースでは税務署に否認され、マンションを時価で評価されてしまい追徴を受けているケースが多くあります。これは相続税を軽減するためだけにマンションを購入したと見做されるためです。これを防ぐためには、以下のような対策をとる必要があります。
①相続税の節税対策だけで購入したと思われないようにする
親族の居住用にタワーマンションを購入するのであれば、このリスクは軽減することが出来ます。また、賃貸用に購入するという方法も有効ですが、この方法は以下に述べる収益率の問題が発生することになります。
②相続発生前3年以内の購入にならないようにする
相続発生時期は予測が難しいのですが、近々相続が発生しそうになる前に購入を行った方が良いでしょう。
③相続発生後すぐには売却しない
出来れば、相続税の調査が入る可能性が高い相続税の申告期限後3年以内の売却は避けた方が良いでしょう。固くいくのであれば、相続税の時効になる5年(通常の場合)または7年(悪質な場合)経過後に売却した方が安全です。
次のリスクは、タワーマンションの収益率が悪いという点です。購入したタワーマンションを賃貸に出す方も多いのですが、タワーマンションの収益率は一般に非常に低いです。例えば2億円で購入したマンションを月50万円で賃貸に出しても、年間収入は600万円になり表面利回りは3%にしかなりません。さらにタワーマンションの管理費や修繕積立金は高いので、これらを考慮すると利回りはさらに下がります。また、タワーマンションの家賃は高いので、一度入居者が出てしまうと、次の入居者が決まるまでの時間も長くなり、収入がない期間が多く発生することにもなります。これらを考えるとタワーマンションは不動産投資としてはあまり魅力はありません。特に借入金でタワーマンションを購入する場合は、返済が十分に出来なくなる可能性がありますので、十分に注意してください。
3つ目のリスクは価格の下落リスクです。現在はマンションの価格は順調に推移しているからそれほど問題はありませんが、不動産価格はいつ下落するか分かりません。また、地域によっては年数が経った時の下落率が大きい地域もあります。このような地域では新築のマンションを購入してしまうと売却時の価格は購入時と比較して大きく下がってしまうことになります。そうすると相続税は節税できたけれども財産価値も大きく下がってしまうということになります。価格の下落率を考慮すると、タワーマンションの購入は新築よりも中古の方が良いと思います。
以上述べたようにタワーマンション購入による相続税の節税は効果は確かにありますが、リスクも多くありますので、リスクとのバランスを考えて慎重に検討するようにしてください。